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Community Blogs カスタムIC/ミックスシグナル > アナログレイアウトにおけるMOSFET差動対の寄生成分を揃えるには
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アナログレイアウトにおけるMOSFET差動対の寄生成分を揃えるには

28 Mar 2024 • Less than one minute read

By Mark Williams, Sr Software Engineering Group Director
Translator: Masaru Yasukawa 

差動アンプは、1つの入力信号ではなく2つの入力信号間の差にゲインを適用します。これは、差動アンプが両方の入力信号のノイズや干渉を自然に除去でき、コモンモードの信号を抑制できることを意味します。すなわち、両方の入力信号に存在するDCオフセットは除去され、ゲインは対象の信号にのみ適用されるのです。実際の設計の場面では、差動対のほとんどはカレントミラー回路やアクティブロード回路に繋がります。これにより、必要な面積を大幅に削減し、かつゲインを大幅に増やすことができます。 

アナログレイアウトにおける差動対は、バランスが全てです。つまり性能を最大限に引き出すには、構成するMOSFETを一致させる必要があります。これは、チャネルのWidthやLengthを揃えることは勿論、配線のバランスもとれている必要があることを意味しています。差動対の左右で寄生成分に差があると、バランスが崩れ、性能が低下してしまいます。 

Pulsicが提供するプラグインと従来のSchematic Editorを組み合わせることで、上記のレイアウトコンセプトを簡単に実現できます。このプラグインは"Animate Preview" と呼ばれ、Schematic Editorから取り込まれる回路を基に、DRC Cleanなレイアウトを生成することが出来ます。Animateはバックグラウンドで実行され、差動対やカレントミラーなどの主要な回路構造を自動で認識します。また、配置制約を自動的に生成するため、人が作成するレイアウトと同等の品質で配置を行うことが可能です。

以下[図1], [図2]はAnimate Previewの実際の実行画面です。Windowの右側には自動で生成されたレイアウトが多数表示されます。これらは全て、取り込まれた1つの回路図に対するレイアウト候補です。Windowの下側には制約が表示されます。制約はAnimateによって自動で設定されます。Window左側には、生成された各レイアウトのStatus情報を表示します。

[図1]:右側にイニシャルレイアウトを表示

[図2]:差動対クリックで候補のレイアウトを強調表示 

[図2]から、Animateが差動対を自動で認識し、回路図上でデバイスの周囲にハローを描写していることが分かります。Window下部のConstraintでは、Animateが2つのデバイスに差動対の制約を与えています。これにより、配線のバランスを取るためにCross-quad状にレイアウトを配置できるかの確認が行われます。もう一つのオプション、Rowに関して見てみましょう。Animateは、この差動対に対して1列、2列、3列、4列での配置例を自動的に考慮します。 

Animateは差動対の様々な設定と要件、その差動対が存在するコンテキストを全て考慮し、最適な差動対レイアウトの並びを計算します。制約を自動生成した後の次のステップとして、レイアウトが生成され、Windowの右側に表示されます。また、回路図内で差動対をクリックするとレイアウトがクロスプローブされます。 

差動対の各デバイスは、同じジオメトリックな環境に置かれることが理想とされます。これは、デバイスに対するプロセスのばらつきやLDE(Layout Dependent Effect) による影響を均等に与えることができるからです。これを達成するため、Animateはデバイスを規則的なGridに配置し、周囲の間隔を全て同一にします。デバイス間の間隔も同一である必要があります。今回の例ではRowは2つだけですが、3つ以上の場合は、その全てのデバイスが同じジオメトリックな環境を持つように間隔を同一にする必要があります。

[図3]:差動対とカレントミラーの配置概要 

ジオメトリックな環境の観点として、デバイスの左右に同じ隣接デバイスがあることも重要です。そのためAnimateは、デバイスの最外周にダミーデバイスを挿入します。上記画像の明るい灰色のデバイスがダミーデバイスです。Animateは自動で差動対を認識するため、ダミーデバイスも自動で挿入します。 

また、Polyの突き出しも同一にする必要があります。レイアウトをよく見ると、小さな円が表示されています[図4]。これがPolyの突き出しの方向を示しています。初段のデバイスは下側に突き出しがあり、二段目は上側にあることが分かります。 

各デバイスが同じ動作をするように、またDie全体でのプロセスのばらつきへの対策として、Animateは可能な限りコモンセントロイド配置を採用します。回路図で左側のデバイスを選択すると、交差するように配置がされています[図5]。これは、各デバイスが同じ位置に重心を持つことを意味しています。さらにAnimateは、配線のバランスの観点も考慮して、Cross-quadパターンも取り入れています。これについては次に説明します。

[図4]:Polyの突き出しは小さな円で表示

[図5]:Cross-quad状のコモンセントロイド配置 

この自動生成された差動対のレイアウトはそれなりに要望を満たしていますが、改善の余地がいくつかあります。例えば、水平方向のマッチングは満たせていますが、垂直方向を見ると、デバイス上端はガードリングとなっているのに対し、下端には隙間が生じているため、ジオメトリックな環境が一致していないことが分かります。これを変更する方法はいくつかあります。1つ目はデバイスの上下にダミーを追加することです。これは、Animate内でDrag-And-Drop Interfaceを使用して行うことが出来ます。この機能では、デバイスを配置する場所を選択するだけで、簡単にダミーRowを追加することが可能となっています[図6]。また、従来のLayout Editorとは異なり、Animate Editorではレイアウトの編集だけでなく全てのDRC ルールを自動的に処理することが出来ます。 

これで、水平方向と垂直方向のマッチングが可能になりました。Animateには、対応したPDKの場合はダミーデバイスの幅を縮小するオプションがあります。また、ダミーのFinger数を設定することも可能です。この例では、Finger数を1に減らしていますが、本体のデバイスと同じ本数に指定もできます。

[図6]:ダミーデバイスを追加した例 

2つ目の方法として、ダミーを追加する代わりにデバイスの両側に同じガードリングを配置する手法があります。こちらも、AnimateのDrag-And-Drop Editorで行えます。ガードリングを選択すると多数のアンカーポイントが表示されるので、これらのポイントの間を補強するように描写することで、新たなガードリングを生成できます[図7]。その後Animateは配線を再実行し、DRC Cleanなレイアウトを再生成します。

[図7]:Drag-And-Drop Toolを使用して、新しいガードリングが描写可能 

ここからは配線についてです。Animateが作成した配線を確認するにはDetailed Viewを使用します。差動対の配線には、デバイスの拡散層領域の上または周囲にあるMetalが全て同一であることと、差動対の左右の寄生成分が同じになっていることと言った、2つの目標があります。

[図8]:左右均一なMetal 

寄生成分に関してはあまり気にしませんが、バランスを取ることは必要です。それぞれの層でMetalが同一になっているかを見ていきましょう。青いレイヤーはPolyレイヤーです。レイヤーの表示を切り替えていくと、Metal1, 2, 3がまったく同じであることが分かります。

[図9]:デバイス上のMetal4

[図10]:Metal2とMetal3で接続を実施 

Metal4はデバイス上を通過する配線として使用されていますが、各デバイス上を同一に通過しています[図9]。このことから、デバイスの各Metal層を同じにする目標を達成していることが分かりました。 

次の目標は、配線のバランスをとることです。つまり、入力側だけでなく、Drain側の内部配線もバランスを取る必要があります。もっとも簡単な方法は、左右の形状構造を同一にすることです。 

Gateの接続を見てみると、Metal2とMetal3で、Cross-quad状に配線が実施されていることが分かります[図10]。ショートしてしまうのでレイヤーを同一にすることは出来ませんが、幅や長さ、形状は同じになっており、可能な限りバランスの取れた配線をAnimateは実現しています。 

これで、差動対内の寄生成分のバランスを取ることが出来ました。ただし、寄生成分のバランスは単純に差動対だけでは完結しません。どの回路に接続されているかのバランスも考慮する必要があります。最も一般的なトポロジーは、カレントミラーに接続されるものです。 

カレントミラーには独自のマッチング要件があります。カレントミラーの出力2本を、リファレンスと一致させようとしています。この場合、カレントミラー自体がコモンセントロイド配置を実現できるように、ミラー元が中央に配置され、2つのミラー先がミラー元の外周対角線上に配置されます。更に、Animateは差動対とカレントミラーが共通の対称ラインを持つように配置しており、カレントミラーと差動対の相互作用についても考慮していることが分かります。例では、M10がM20に接続され、M11がM19に接続されています。そのため、カレントミラーの下段が差動対の上段と並んでおり、配線が可能な限りシンプルになっていることが分かります。 

言うまでもなく、カレントミラーが配置される場所によって必要とされるパターンは異なります。完璧な差動対のレイアウトをそれ単独に考えても意味がありません。何をどこに配置するかによって、それは大きく左右されるのです。

[図11]:カレントミラーと差動対の詳細な配線 

以下に、差動対とカレントミラーの配置の概要を示します。1本目の出力はカレントミラーと差動対の右側の間を配線していることが分かり、もう片方の出力は、対称的で同一の、バランスの取れた配線形状になっていることが分かります[図11]。これにより寄生成分は差動対だけでなく、差動対とカレントミラーの間でも均一化されます。つまり、構造全体のバランスが取れていることを意味します。 

さて、ここまで差動対とカレントミラーについて述べてきましたが、他のデバイスへの配線もある場合、構造全体のバランスを取るためにはそれらすべての要素のバランスもとるべきではないかと疑問に思うかもしれません。 

この目標を達成するための一般的な方法は、垂直方向の対称ラインを持った"Butterfly-Style"のレイアウトを生成することです。そうすれば、右側を正確に反映した左側が得られます。実現には、デバイスの半分を作成し、反対側には反転したセルを配置するハーフセルの手法が一般的に用いられます。Animateでは、Window下部のStyleタブからMirrored Base Analog Style を選択することで、ハーフセルを作成することなくこれを実現できます。 

このスタイルのレイアウトの場合、デバイスが左右どちらに配置されるかといった、追加の情報をAnimateに与える必要があります。ただし他の制約同様、Animateは自動で判別するため、手動で入力する必要はありません。回路図上では赤と緑で色分けがされます[図12]。

[図12]:SchematicのAnimate Styleタブ 

画面上には様々なインジケーターがあり、赤いティアドロップはデバイスが対称配置の左側に置かれることを意味し、緑のティアドロップは右側に配置されることを意味しています。この記号は、対称的なパートナーであることを示すために結合表示されています。半円表示は、そのデバイスがM-Factorを持ち、左右に分割して対称的に配置していることを意味しています。M-Factorが1の抵抗にも半円表示がありますが、これはAnimateが抵抗を分割し、対称的に配置を行っています。カレントミラーや差動対といったMatchデバイスには、独自の色が設定されています。このスタイルで生成されたレイアウトを確認すると、差動対は垂直方向の対称ラインの中央に配置され、他のデバイスが放射状に広がる形で配置されていることが分かります。このように、Animateは自動的に"Butterfly-Style"のレイアウトを実現できるのです。

Summary

差動対の性能を最大限に発揮するには: 

  • MOSFETのチャネルの寸法を揃える
  • LDEを考慮した、マッチング性の取れた配置とする
  • MOSFETが受けるMetalからの影響を同一にする
  • 配線のバランス(R&C) を差動対内で揃える
  • カレントミラーと差動対の間の配線も同じように揃える
  • "Butterfly-Style"のレイアウトにより、ブロック全体のバランスを取る
  • 差動対を垂直方向の対称ライン上に配置する

更に詳細/お試しをご希望の場合は以下のページをご確認ください。

https://pulsic.com/animate/

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