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Spectre Tech Tips: 精度101

14 Jul 2022 • Less than one minute read

 Spectreを含むアナログ回路シミュレータは、求める測定値に応じてシミュレータのパラメータをパッケージとして切り替え、最適な精度と性能のバランスを得るための精度モードが用意されています。Spectre APSにはconservative、moderate、liberalの3つのerrpresetモードがあります。Spectre XにはCX、AX、MX、LX、VXの5つのpresetモードがあります。結果の精度に影響を与える主なシミュレータのパラメータを理解することが重要です。

アナログシミュレータの精度の限界を理解するためには、MOSFETやBJTなどの能動素子による典型的なアナログ回路を表す非線形方程式に対して、シミュレータがどのように解を求めるかを知る必要があります。非線形方程式は、キルヒホッフの電流則(KCL)とキルヒホッフの電圧則(KVL)に基づいています。この2つの法則は、アナログデバイスのノード電圧と電流の関係を管理するものです。アナログ回路の能動素子には、各素子の電流と電圧の間に非線形な関係があるため、方程式は非線形となります。これらの非線形方程式を解くために、Spectreはニュートン・ラプソン法を用いて解を求めます。この方法は、図1に示すように、解に収束するために数回の反復を行います。

図1: ニュートン・ラプソン法

この方法が収束しているときは、反復するごとにより正確な解が導かれ、永遠に続くこともありますが、アナログシミュレータは、ある基準に達したときに停止することを選択します。この場合の基準は、連続する2回の反復の間の各電圧および電流変数の差が、それぞれvabstolとiabstolの絶対値より小さいことです。

あるノードに対する解の精度は、そのノードのインピーダンスが大きい場合はvabstolに大きく依存し、ノードのインピーダンスが小さい場合はiabstolに大きく依存します。Spectre APSのmoderate errpresetおよびSpectre XのMXモードでは、vabstolのデフォルト値は1uV、iabstolのデフォルト値は1pAです。

実際、vabstolとiabstolだけに頼ると、解の値がこれらの絶対許容誤差よりはるかに大きい場合、シミュレーションの速度が低下します。この場合、Spectreはreltolと呼ばれる相対許容誤差に頼ることが多くなります。そのため、連続する2つのイタレーション間のノード電圧の差が、これら2つのイタレーションのうち大きい方の電圧に乗じた相対許容誤差よりも小さい場合、その解は受け入れられることになります。そして、電流も同じ関係です。Spectre APSのmoderate errpresetおよびSpectre XのMX presetモードでは、reltolのデフォルト値は0.001です。

以上の関係の結果、受け入れられる電圧の解を定義する式は次のようになります:

abs(Vn-Vn-1) < vabstol + reltol * max(Vn,Vn-1)

数百、数千のノードを持つ回路のDC解を求める場合、ほとんどのノードは絶対許容誤差(vabstol、iabstol)や相対許容誤差(reltol)よりもはるかに良い精度を持ちますが、最終的には、少なくとも1つのノードが最後のイタレーションで精度閾値を超えたところで、シミュレータが解を受け入れるかどうかを判断します。そのため、このノードを使った測定であれば、これらのシミュレータの誤差が、求めている測定値に対して許容範囲内であることを確認する必要があります。

例えば、あるアンプのバイアス電圧を測定したい場合、測定の結果が700mVであったとします。もし、reltol 0.001のmoderate errpresetモードがあり、このノードが回路に対して最大の誤差を持つ場合、この測定では±0.7mVの誤差を期待することができます。実際にはこれよりはるかに少ない誤差ですが、この値が測定におけるあなたの誤差の上限となります。

今後の投稿では、シミュレータの精度に影響を与えるより多くのパラメータについて説明します。

Moustafa Mohamed
Translator: Yoko Watanabe

関連リソース

  • Spectre Classic Simulator, Spectre Accelerated Parallel Simulator (APS), and Spectre Extensive Partitioning Simulator (XPS) User Guide
  • SPECTRE日本語資料

ケイデンスのサポートAEに連絡して、ガイドを受けることもできます。また、ケイデンスの回路設計用の製品とサービスの詳細については、www.cadence.comをご参照ください。

Spectre Tech Tipsについて

Spectre Tech Tips は、Spectreシミュレーション・プラットフォームの機能と可能性を探求することを目的としたブログシリーズです。Spectreの便利な機能や強化された機能を紹介するだけでなく、このプラットフォームに関連するあらゆる事柄について知識や経験を共有するさまざまなブロガーや専門家の声を掲載しています。

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