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Spectre Tech Tips: Spectre Sパラメタ品質チェック及びフィッティングツール

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Spectre では nport エレメントを使う事で S パラメタデータを取り込み、時間及び周波数ドメインで回路シミュレーションが可能です。この S パラメタの品質が悪い場合、ユーザはしばしば収束や速度問題に直面します。

以下は過渡解析で起きる S パラメタによる問題の典型例です：

  • DC 動作点が無い、もしくは不正確
  • 低い周波数側でのポイント不足
  • 高い周波数側のポイントが、回路の動作周波数よりも低い、もしくは 1/(立ち上がり時間) よりも小さい
  • ディケード毎の周波数ポイントが少ない
  • 複素数もしくは位相で不連続性がある
  • 因果律違反
  • 受動動作違反

Spectre 23.1 ISR5 リリースには Spectre S パラメタ品質チェック及びフィッティングツールが同梱され、Spectre シミュレーション実行前に、S パラメタデータの品質チェックと修正を行う事が可能です。

このツールは２つの機能からなります：

  • S パラメタ品質チェックツール
  • S パラメタフィッティングツール

S パラメタ品質チェックツールは次のコマンドラインで起動します。

spectre +sparam <Sparam_filename> +checking -o <SparamToolOutput>

この機能では S パラメタデータをチェックし、-o オプションで指定された <SparamToolOutput> ディレクトリ以下に、下記形式のレポートを出力します：

問題となる箇所があれば Failed と表記されます。この Failed とされた箇所には２つの解決方法があります：

  • 品質チェックで問題になった箇所を S パラメタファイルの再抽出で修正
  • フィッティングツールで修正モデル(rational fitted model: RFM)を生成

フィッティングツールは、S パラメタ品質チェックツールで指摘された問題に対処し、受動性や因果律を解決した RFM を生成します。元となる S パラメタファイルに問題個所が多ければ多いほど、このRFM に修正が入ります。

フィッテイングツールは次のコマンドラインで起動します：

spectre +sparam <Sparam_filename> +fitting=rfm -o <SparamToolOutput>

フィッティングツールは、フィッテイング時のエラー及び RFM の品質情報をレポートし、ユーザはそれに基づき元データに対するフィッテイングモデルの不正確さを判断する事が出来ます。レポート中にある “Rational Fitted Model Status” ではフィッテイング品質として： Good, Moderate, Poor の何れかが表示されます。もし品質が Poor と表示された場合は、S パラメタデータを再抽出する事を強くお勧めします。

この Spectre S パラメタ品質チェック及びフィッティングツールの詳細説明と図説は support.cadence.com にある記事 Article 20512255 でご覧になれます。更に、Linux プロンプト上から次のコマンドで関連情報を確認出来ます： spectre -h sparam

関連リソース

ケイデンスの回路設計製品およびサービスの詳細については、www.cadence.com をご参照ください。

Stefan Wuensche
Translator: Ryo Sato

Spectre Tech Tips について

Spectre Tech Tips は、Spectre シミュレーション・プラットフォームの機能や可能性を探求することを目的としたブログ・シリーズです。このシリーズでは、Spectre の有用な機能や改善についての知見を提供することに加えて、このプラットフォームに関連するあらゆることについての知識と経験を共有する、様々なブロガーや専門家の声を届けます。

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