Spectre Tech Tips: Spectre X での差動整合回路の処理

コンパレータなどの差動整合回路では、精度を確保するために RC リダクションでの特別な処理が必要です。設計上、コンパレータの差動ペアは密接に整合しており、RC のミスマッチによる不均衡が大きな差異につながります。したがって、任意の差動ペアの解析では、conservative 設定でも問題になる可能性があります。「左側の素子」と「右側の素子」に適用される RC リダクションは、事前に定義された許容誤差に基づいて異なる場合があります。よって、これらのタイプの回路では RC リダクションを行わないことが常に推奨されます。

小さな誤差 % が大きな不正確さにつながる可能性があります

コンパレータの効率は、その入力オフセット電圧、または理想的なコンパレータの 1つの入力に直列に印加された電圧源によって表される差によって決定できます。入力段の差分は、トランジスタの不均衡と RC ミスマッチの結果です。その結果、理想的なコンパレータのように VIN+ = VIN- の場合、出力はトグルしませんが、図 1 に示すように、しきい値レベルは入力オフセット値 VIO だけシフトされます。

図 1: VIO は入力オフセット値

VIO に寄与するすべてのネットを保持

Spectre X はデフォルトでポストレイアウトのコンテンツを検出し、RC リダクションを有効にします。この RC リダクションは、コンパレータまたは同様の差動設計に適用されると、精度の問題を引き起こす可能性があります。

しかし、Spectre X を使用する際に、ユーザーは特定のネットまたはブロックに対してローカルに RC リダクションをカスタマイズできます。このアプローチを使用して、コンパレータの VIO に寄与するすべてのネットのリダクションをローカルで無効にすることができます。

Syntax:

opt1 options postlpreset=off +postlnets=[instance_of_comparator.*]

関連リソース

• Spectre Classic Simulator, Spectre Accelerated Parallel Simulator (APS), and Spectre Extensive Partitioning Simulator (XPS) User Guide
• Introducing Spectre X (英語版／日本語版)
• 日本語プロダクトページ : Spectre日本語資料

また、ケイデンス社のサポートAEに問い合わせることも可能です。

ケイデンス社の回路設計製品およびサービスの詳細については、www.cadence.comをご覧ください。

Spectre Tech Tipsについて

Spectre Tech Tipsは、Spectreシミュレーション・プラットフォームの機能や可能性を探求することを目的としたブログ・シリーズです。このシリーズでは、Spectreの有用な機能や改善についての知見を提供することに加えて、このプラットフォームに関連するあらゆることについての知識と経験を共有する、様々なブロガーや専門家の声を届けます。

Timothy Low
Translator: Yuko Yoneda

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