Start Your Engines: ミックスシグナルシミュレーションでTclコマンドをより効果的に使う

25 Sep 2023 • 1 minute read

Cadence® Spectre® AMS Designer は、高いパフォーマンスのミックスシグナル・シミュレーション・システムです。複数エンジンの使用や、さまざまなプラットフォームから実行できる機能により、ミックスシグナル・デザイン検証を「活性化」し、市場競争でチェッカーフラッグを受けることができます。Start Your Engines! ブログ・シリーズは、シミュレーションのパフォーマンスをチューンアップし、生産性向上に役立つヒントと洞察を提供します。

シミュレーション中に波形をセーブする事は実行結果を確認する為の基本です。しかし、シミュレーションの速度はセーブする信号数に影響を受ける為、巨大なSoCデザインの場合にシミュレーション全体で全ての信号をセーブする事は現実的ではありません。この場合、重要な信号に絞ってセーブを行う設定が必要になります。

以下にTCLコマンドによる効果的な信号セーブ方法を示します：

単一信号のセーブ

階層 i1.i2 にある net3 の電圧をセーブする：
probe -create top.i1.i2.net3

階層 i1.i2 にあるポート portA を流れる電流をセーブする：
probe -create -flow top.i1.i2.portA

インスタンス内の複数信号のセーブ

階層 i1 にあるインスタンス i2 の全ポート及びネットの電圧をセーブする：
probe -create -noaicms top.i1.i2

階層 i1 にあるインスタンス i2 の全ポートの電流をセーブする：
probe -create -noaicms -flow -ports top.i1.i2

インスタンス内で選択された信号のセーブ

-depth オプションを使用し、インスタンス i1 以下1階層分の全ポート及びネットの電圧をセーブする：
probe -create -noaicms -depth 2 top.i1

-ports オプションを使用し、インスタンス i1 以下1階層分の全ポートを流れる電流をセーブする：
probe -create -noaicms -depth 2 -flow -ports top.i1

複数インスタンスを持つモジュール内で選択された信号をセーブ（Verilog-AMS書式のアナログスコープにも適用可）

find コマンドを使い、スコープ i1 以下1階層分にある out で終わる名前の全ポートの電圧をセーブする：
probe -create -noaicms [find -rec 1 -scope top.i1 -ports *out]

更に高度な使い方として、名前が i で始まるインスタンス以下1階層分で名前が out で終わる全ポートの電圧をセーブする：
set inst_scope [find -instances -rec 1 -absolute -newline i*]
foreach {inst} $inst_scope { catch {probe -create -noaicms [find -scope $inst -ports *out]}}

上記で示した様に probe 及び find コマンドを組み合わせる事で、本当に必要な信号のみを選択する事が出来、波形データベースから余分なデータを省く事でシミュレーション速度への影響を最小限に出来ます。

Start Your Enginesについて

Start Your Enginesシリーズでは、AMS Designerの新機能の紹介、既存機能の強化のためのヒントなど、さまざまなトピックについて、アナログ／ミックスシグナル分野の専門家がブログ記事をお届けしています。

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