Microwave Office 用の村田製作所の新しいライブラリ

　表面実装キャパシタを含むすべての電子部品は、その物理的構造（リード、内部構造、PCB 配線）により、理想的な電気的動作から逸脱する望ましくない寄生特性を持っています。特に高周波数では、これらの寄生特性によって、信号の歪み、ノイズ（クロストーク）の増加、帯域幅の減少、タイミングエラー、電力損失、増幅器の不安定性などの問題が発生します。

製品開発の設計段階でシステム性能への影響を適切に処理できるように、部品の寄生成分を正確に表す高周波モデルを使用して、これらの影響を回路解析に組み込むことが重要です。

最近（2025 年 12 月）、村田製作所は Microwave Office のキャパシタおよびインダクタの等価回路部品ライブラリを新しい部品番号で更新しました。部品はパラメータ化されており、部品番号ごとにチューニングと最適化が可能で、設計者は現実的な周波数特性を持つ部品モデルを使用できます。

たとえば、同じ定数 (3.6 nH) を持つ村田製作所のインダクタモデルと理想的なインダクタモデルを比較すると、両者の間には違いがあることがわかります。これは、実際のインダクタ部品には、理想的な応答とは異なる性能をもたらす寄生成分が存在するためです。設計の成功を確実にするためには、これらの寄生効果を考慮する必要があります。

図 1. 村田製作所の SMD インダクタ (グランドにLOAD部品を介して短絡) と理想的なインダクタの RF 応答を比較すると、寄生要素が高周波性能に与える影響がわかります。

キャパシタの理想的な部品モデルと実際の部品モデルの間にも違いがあります。実際の部品には、静電容量に加えて、等価直列インダクタンス (ESL) などの寄生成分があり、これも高周波でのインピーダンスに影響します。L と C 部品が回路内で組み合わされると、寄生効果による違いがさらに顕著になり、特性に大きな変化が生じます。これらの寄生効果を考慮すると、設計の精度と解析の信頼性が向上します。

図 2. 村田製作所の SMD キャパシタ (グランドにLOAD部品を介して短絡) と理想的なキャパシタの RF 応答を比較すると、寄生要素が高周波性能に与える影響がわかります。

村田製作所の Microwave Office 用ライブラリは、回路解析モデルだけでなく、2D および 3D 部品情報も提供します。配線を組み合わせてレイアウトを作成することもできます。

図 3.村田製作所のインダクタおよびキャパシタの SMD 部品をベースにした RF フィルタ。Cadence Microwave Office で解析された回路図で相互に配線されています。

更新されたライブラリは、村田製作所のWebサイトからダウンロードできます。ライブラリをダウンロードして、新しいチューニングおよび最適化ライブラリを活用してください。

図4. 村田製作所でライブラリが提供されているホームページ

Translator : Tsutomu Sugawara