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境界を越えて、未来を組み上げろ―ホンダ×ケイデンス

8 Oct 2025 • Less than one minute read

大変光栄なことに、私たちケイデンスは、本田技術研究所社の先進技術研究所(以下、HGRX)と長年にわたりパートナーシップを築いてまいりました。Hondaの研究開発における協業は、電子設計自動化(EDA)の進化に向けた弊社の取り組みを象徴しています。今回、弊社のPresident and CEOであるDr. Anirudh Devganが、HGRX所長の小川厚氏、半導体領域を担当する志波義勝氏と、AIと半導体の未来について貴重な知見を共有させていただきました。

「AIは、物理世界にどう根づいていくのか?」、この問いをテーマに包括的かつ非常に濃密になった対談内容をご紹介します。ぜひご覧ください。

教え合う関係から生まれる共創力

志波氏: Anirudhさん、ようこそHondaの先進技術研究所へ。Hondaとケイデンスさんは長年の関係があり、協力関係も多岐にわたっていますが、今日は半導体やAI技術についてのお話を伺っていきたいと思います。

(左から)志波義勝氏、小川厚HGRX所長、Dr. Anirudh Devgan

Dr. Devgan: Hondaは私たちにとって顧客ですが、ただそれだけの関係にとどまらず、「互いに教え合える」存在だと思っています。モビリティを通じて、現実世界でハードウェアやシステムを実際に動かしている企業と研究開発をともにしていることはとても光栄です。

小川氏: Hondaと一緒に働くケイデンスの皆さんとは、どこか同じ精神を共有しているように感じています。だから、共鳴し合っていい研究ができているのかなと。今日はよろしくお願いします!

志波氏: さて、AI技術は大きな価値を生む一方で、電力消費の面など、課題もまだまだ多く存在しています。そこで伺います。現在のAIの課題を打破するために、最も重要な技術的ブレイクスルーは何だとお考えですか?

Dr. Devgan: AIは本質的に、密な行列や線形代数といった計算構造で動いています。私がEDA(Electronic Design Automation)の分野に足を踏み入れた1970年代当時、EDAのアルゴリズムは今のAIとよく似ていました。密な行列計算を扱い、非効率で、演算量も非常に多かった。しかし、そこから私たちは最適化や階層化、パーティショニング、レイテンシー処理などを通じて、100倍以上の高速化を実現してきました。

Dr. Devgan: こうした進化は、今後のAIソフトウェアにも同じように訪れると確信しています。この先5~10年の間に、より効率的な構造や最適化手法が次々と登場し、Multi-Head Latent Attention(MLA)やMixture of Experts(MoE)のような手法が当たり前になっていくでしょう。

小川氏:  Hondaも20年以上前から、AIや機械学習の研究を進めてきました。当時から多くの特許も取得し、3Dチップに関しても同時に研究を始めています。

Dr. Devgan: 重要なのは、ソフトウェアの進化だけではありません。AI専用アーキテクチャのようなハードウェアの革新、そして3D-ICやチップレット技術による物理的な統合も不可欠です。たとえば、ソフト、ハード、パッケージングの各領域でそれぞれ10倍の改善が実現できれば、10×10×10で、全体としては1,000倍の性能向上が可能になります。

小川氏: AIチップの性能が指数関数的に向上することで、それを搭載するクルマやロボットが社会に提供できる価値も同じく増加しています。我々のハードウェアも、同じく指数関数的に進化していますし、自身がその成長速度を信じて開発に挑み続けることが必要だと思って日々取り組んでいます。ただ、そこで問題となるのが「消費電力」で、モビリティにとっては大きな影響があります。

カギを握るのはAIと物理世界の融合

志波氏: その解決を図るためにも、ハードウェアとソフトウェアを分けて考えるのではなく、協調した設計が求められています。今後のカギは何だとお考えですか?

Dr. Devgan: まさに、それがHondaとの研究開発に胸躍る理由なんです!カギは「Physical AI(フィジカルAI)」にあると考えています。これまでのAIはソフトウェア、特に言語モデルなどが中心でしたが、今後はAIが現実世界の物理的事象と融合し、クルマやロボット、ドローン、農業機械といった実体を持つシステムと一体化することで、真の価値が生まれていくはずです。

小川氏: まさしく!たとえば、自動運転における“最後の1マイル”や、ロボットが対象物を扱う際の“最後の1ミリ”、こうした領域では、シミュレーションだけだと限界があります。予測不能な状況に対応する、柔らかいものを掴む、形が変わるものを扱う、これらは決まったパターンで起こるわけではないため、現実世界で実際に試すことでしか解決できません。「Physical AI」あるいは「Embodied AI(エンボディードAI、実体を伴うAI)」として、実際の事象とAIを協調させて研究を進めています。

Dr. Devgan: この領域には3つの要素があります。「シリコン(半導体)」、「システム(ハード・ソフト、メカニズム)」、そしてその上に「データ」が乗る。これらが統合されて初めて、リアルな価値が生まれます。

小川氏: 私たちはクルマやロボットといった「システム=現実世界の物理」の中で成果を出してきました。だからこそ、ケイデンスとも、互いの強みを生かし合える関係なのだと思います。

Dr. Devgan: 我々ケイデンスはシリコン領域からスタートした企業ですが、Hondaをはじめとしたパートナーと協業することで、機械、電気といった他領域のボトルネックや制約も深く理解するようになってきました。

小川氏: だからこそ、こうしたコラボレーションにおいては、単なる業務の分担ではなく、相互に“深く知り合う”関係が必要だと思っています。「ここから先はお願いね」という一方通行ではなく、お互いの専門領域を越境して理解し合う姿勢が求められます。

エンジニアリング・マインドがどんな課題も解決する

Dr. Devgan: 私たちがHondaの皆さんと仕事をしていて最も楽しいと感じるのは、エンジニア同士が直接対話し、深く連携できること。技術者同士が本音で語り合い、共に手を動かすことで、本物のブレイクスルーが生まれる。それこそが“真のマジック”です。Hondaには、連綿と続く豊かな研究開発の蓄積がありますし、チームの皆さんも非常に強いエンジニアリング・マインドを持っている。私たちケイデンスにとっても非常に価値のあるパートナーシップです。

小川氏: 私はいつも若手に「まずはゼネラリストではなく、スペシャリストを目指せ」と言っています。自分の専門領域を徹底的に深く掘り下げてほしい。深く掘った“縦穴”は、あとから広げるのが簡単だからです。 志波氏さんが好例で、自動車エンジンのエンジニアだった彼が数年前に半導体を担当するようになり、今や御社のエンジニアと非常に深い技術議論ができるようになっている。

Dr. Devgan: ある領域を深く掘り下げることで、他の領域にも応用できるだけの力が養われますよね。私は、スペシャリストの価値は今後ますます高まり、逆にゼネラリストの価値は相対的に低くなっていくと考えています。複数の領域で“垂直的な専門性”を持つ人材こそが、これからの時代に必要とされるのです。 実際、チップ設計よりも難しい領域は世の中にたくさんあります。でも、エンジニアリングの思考を持つ人間なら、どんな課題にも立ち向かうことができる。それこそが、エンジニアの本当の強さだと私は信じています。

変革を起こし、10年後のモビリティを作り上げる

志波氏: そうやって未来を切り拓いた先には何が生まれるのでしょうか。10年後のモビリティは、どうなっていると思いますか?

Dr. Devgan: 現在と比べて完全に変革されていると信じています。だからこそ、今ここにいるんです。これからの10年はAIの“黄金期”になります。特に、フィジカルAI、エンボディードAIが、すべてのシステム製品やモビリティ製品の中心になっていく。それは半導体製品にとっても同様です。今が、その変革の始まりとして最もエキサイティングな時期だと感じています。AIと半導体、そして機械システムが融合していくことで、まったく新しい世界が拓かれていく。

小川氏: 自動車業界ではよく「100年に一度の大変革期」と言われています。でも私は、それをチャンスだと捉えています。なぜなら、他の業界のプレイヤーたちが自動車に参入してきたことで、機能や性能の進化がこれまで以上に加速しているからです。これはお客様にとっても良いことですし、ハードウェアとソフトウェアを協調設計するうえでも、大きな利点になります。もちろん、ソフトウェア企業やAI企業に主導権を奪われるリスクもあります。でも私たちには、エンジニアリングの強みと、ケイデンスのような企業と協調できる文化があります。それこそが、Hondaの価値だと思っています。

Dr. Devgan: この10年間、私たちはスマートフォンメーカーと共に、大きな変革を進めてきました。さらにこの5年では、大手ハイパースケーラーたちとも協業しています。そして私が確信している次のステージは、「クルマ」と「ロボット」です。これからの5年間は、巨大なチャンスが広がっています。だからこそ、Hondaの皆さんと仕事ができるのは本当にワクワクします。

小川氏: Hondaはこれから、自動車だけでなく、ロボティクスなどを含めた産業全体の変革を加速させる役割を果たしていくことができる。これは、Hondaにとっても、業界全体にとっても、非常に大きなチャンスです。私たちはいま、ともにその大きな変革の中心に立っているのだと思います

Dr. Devgan: その通りです。“ワンチーム”ですね。Hondaとケイデンスが、ひとつのチームとして動いている。

志波氏: 「ワンチーム」、いい響きですね。半導体は、AIを実行するための“エンジン”のような存在です。それは顧客や社会にとって、大きなインパクトをもたらす技術になります。これからも協力をお願いします!

ケイデンスのオートモーティブソリューションについては、こちらをご覧ください。

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