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Spectre FX: FはFastのF、本当に高速

20 May 2021 • Less than one minute read

本日5月20日(米国時間)、ケイデンスは、最大で3倍の速度(同等以上の精度で)を持つ次世代FastSPICE回路シミュレータSpectre FX Simulatorを発表しました。このシミュレータは、メモリを含む複雑なアナログおよびカスタムデジタルブロックとサブシステムの大規模なシミュレーション検証の課題を解決します。

Spectre FXについて聞いたとき、まず「待てよ、私は20年前にCustom ICを担当していた時にFastSPICE製品があったはずだが」と思いました。Spectre FXチームは、「その記憶は間違っていませんよ」と言ってくれましたし、実際に今でもUltraSimを使っているお客様がいらっしゃいます。 そして、Spectre FXの開発には、より最近の技術を用いたSpectre XPSが大きな役割を果たしています。2年前のSpectre X(私の過去の投稿Spectre X: Same Accuracy, New Speedを参照)のように、Spectre FXでFastSPICEも大きく飛躍する時が来たと判断しました。

Spectre FXは、最新のFastSPICE製品であり、新しく組織された専門家チームによって一から開発されました。他の製品に比べて約3倍の速度で結果が得られます。私たちのプレスリリースには「最大3倍」と書かなければなりませんが、これは私が好まない言い回しです。理由のひとつは、「おそらく最高の」というようなあいまいな表現が好きではなく、裏に何か別の意味が隠されているかもしれないからです。「最大50%オフ」という看板を見ても、実際には店舗内の製品のほとんどが通常価格かほんの少しの割引で、売れ残っているものが50%オフになっているということだと思いますよね。いずれにしても、Spectre FXは約3倍の速さです。全体的に。

しかし、私の言葉ではなく、MediaTek様が先端ノードSoCの検証に使用してFastSPICE検証を3倍にしたり、ルネサス様がフラッシュメモリIPの検証に使用して生産性を2倍にしたりしていることを聞いてください。

FastSPICEシミュレータとは何でしょうか? まず、FastSPICEはその名の通りSPICEタイプの回路シミュレータで、さまざまなトレードオフを行うことでより高速に結果を出すことができます。その結果、メモリのような大規模な回路にも対応できるようになりました。

そもそもSPICEの仕組みとは?

ただ車を運転したいだけで、4ストロークエンジン(テスラの場合は電気モーターですが)の仕組みに興味がない場合は、このセクションを読み飛ばしても構いません。

回路シミュレータは、回路の接続性、電圧、カップリング、電流/電圧の関係、キャパシタンスなどをすべてマトリクス状にエンコードして動作します。大きなマトリクスです。時間増分を選び、行列に取り込まれた微分方程式を解き、その時間増分が終わったときの電圧などの値を算出します。その後、新たな時間増分を選び、このアルゴリズムをシミュレーション全体が終了するまで繰り返します。大きなマトリクス、小さな時間増分、大量の計算。これが回路シミュレーションが遅い理由です。もし、シミュレーション全体を通して、すべてのノードの詳細な情報が必要であれば、これに代わるものは実際にはありません。リーバイスの言葉を借りれば、正確さは決して流行遅れではないということです。しかし、高次の効果、機能、タイミング、パワーだけを気にするのであれば、これはやり過ぎです。

Spectre FXのFastSPICEアプローチでは、デザインをパーティションに分割します。この分割がいかにうまく行われるかが、Spectre FXを優れたFastSPICEシミュレータにする秘密のソースの一部です。これらのパーティションのそれぞれは、大部分は独立して解くことができます。「大部分」と言ったのは、パーティションはまだ電気的に接続されており、2つのパーティションに現れたノードは実際には1つの電圧しか持っていないので、シミュレーションの進行に合わせて解かなければならないからです。パーティショニングアプローチの直接的な利点は、異なるパーティションで異なる時間増分を使用できることです。実際、一部のパーティションはまったく変化しない(再計算せずに値を再利用できる)、または効果的に予測可能な方法(値をテーブルに事前に計算して補間を使用できる)であるなら、この方法が良い場合もあります。

先進的なパッケージングの原動力の一つは、1つの大きなダイよりも複数の小さなダイの方が歩留まりが良いことです。それは回路シミュレーションのマトリクスにも当てはまります。行列のアルゴリズムがO(n2)の場合、行列を4つに分割し、4つの1/4サイズの行列でアルゴリズムを実行すると、4倍の速度になります。さらに、それらの異なるパーティションを複数のマシンの異なるコアに割り当てることで、さらに4倍の速度が得られます。もちろん、通信も無視できません。パーティショニングによる性能の変動で得られるものと、パーティション間の通信による回り道で得られるものとの間には、常にバランスがあります。

これらのトリックを駆使することで、Spectre FXはわずかな精度低下で、より高速に動作することができるのです。どこに精度を悪化させる原因が潜んでいるのでしょうか? わかりやすいところでは、2つのパーティションにまたがっているノードの2つの電圧が、正確には同じではなく、近い値になっている場合。もう1つは、テーブルを補間する場合、正確ではあるがはるかに低速な高精度の計算を行う場合と比較して、常にある程度の不正確さが存在することです。

Spectre FX

Spectre Xは、最高の精度を提供しますが、計算に時間が掛かります。Spectre FXは、最高の性能と大規模対応を提供しますが、精度が若干低下するという代償を伴います。上図のようなダイヤルで選択できるようになっていると考えればよいでしょう。アナログ特性評価では、精度に勝るものはありません。メモリのキャラクタライズは、速度に勝るものはありません。その中間には、大規模なデジタルブロックの特性評価のように、規模が最も重要な設計もあります。

Spectre FXは、最大32コアまで活用できます。上のグラフからわかるように、速度向上は3倍になります(オーバーヘッドが支配的な最小のデザインを除く)。Virtuoso ADE製品群にシームレスに適合し、Spectreの業界で認証されているデバイスモデルとシンタックスをすべて同じように使用できます。つまり、Spectre Xが実行できるデザインであれば、Spectre FXも同様に実行できます。

更なる詳細は

Cadence Spectre FX product page をご参照ください。

Paul McLellan

Translator: Nobuhisa Sato & Yoko Watanabe

この記事は、Breakfast Bytes Blogsの投稿Spectre FX: F Is for Fast, Really Fastを翻訳したものです。

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