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Spectre Tech Tips: EMIR解析におけるSpectre Xの価値

3 Dec 2020 • 1 minute read

 EMIR解析は回路シミュレーションの中でも難易度の高い分野の一つです。それは、後に実行されるIRドロップおよびEM電流解析のために、電力および/または信号ネットの寄生を保存する必要があります。同時に、EMIR解析では、ファウンドリで定義された電流制限に対してEM電流をチェックするために、SPICEのような精度が必要となります。Cadenceのトランジスタ・レベルのEMIR解析ツールであるVoltus-Fi XLは、Spectre EMIRソリューションを使用して、回路の動作をシミュレートし、IRドロップとEM電流データを計算します。このブログでは、EMIR解析におけるSpectre Xの利点を探り、また、EMIRのDirectメソッドとIteratedメソッドの双方の手法について、Spectre APSとの性能比較を行います。

Spectre X EMIRユースモデル

Spectre X EMIRユースモデルはSpectre APS EMIRユースモデルと似ています。必要なシミュレーション・プリセットを定義し、+emirコマンドライン・オプションを使ってEMIRフローを有効化する必要があるだけです。

  • Spectre APS: spectre +aps=moderate input.scs +emir=emir.conf
  • Spectre X: spectre +preset=ax input.scs +emir=emir.conf

EMIRフローは寄生の最適化を自動で無効化し、IRおよびEM解析用にすべての寄生素子を保存します。

Spectre X EMIR精度検証

EMIRシミュレーションにSpectre Xを導入する前に、Cadenceが確立しているゴールデンのSpectre APS EMIRの精度と比較して、Spectre Xがどの程度の精度を提供しているかを確認する必要があります。

Spectre X EMIR精度とSpectre APS EMIR精度を比較するために、1.2M個のMOSFET、40M個の抵抗、20M個の容量を搭載した28nmの大規模メモリ・デザインを選択し、EMIR Directメソッドで、同等のSpectre APS/X精度モードを比較しました。下図の各グラフは、与えられたSpectre APS/Xモード(y軸)と、ゴールデンの精度リファレンスであるSpectre APS ++aps=conservativeモード(x軸)との間で、すべてのパワーネット抵抗のRMS EM電流を比較した結果を示しています。

上記のEM RMS電流の比較から、Spectre X AXプリセットは、同等のSpectre APS +aps=moderate (+mod) モードと同様の精度を示していることがわかります。また、より高性能なモードに移行した場合も、同様の精度の低下が見られます。したがって、同等のプリセットを使用したSpectre Xでは、Spectre APSと同様のEMIR精度が得られると結論づけられます。

Spectre X EMIR Directメソッドの性能

Spectre EMIR Directメソッドは、すべての寄生抵抗と容量素子を含むデザイン全体をシミュレートします。これは、Spectreの最も困難なシミュレーション要件の1つとなっています。Spectre APSを超えるSpectre XのDirectメソッドの利点を分析するために、1.2M個のMOSFET、40M個の抵抗、20M個の容量を備えた同じ28nmの大規模メモリ・デザインを使用しました。

このデザインでのパワーネットのIRドロップとEM解析は、Spectre APS ++aps=liberalモード(8コア)では2d 17hを要した一方、Spectre X VXは1d 7hで、2.1xの性能改善となりました。前のセクションで、Spectre XはこのモードでSpectre APSと同様の精度を提供することを見てきました。性能改善以外にも、Spectre Xは全体的なメモリ消費量を削減しました。このケースでは、Spectre APSは260GB、Spectre Xは230GBを使用しました。

Spectre Xは、ハイコア・マルチスレッドおよび分散シミュレーションのための新技術を提供します。32コアを使用(Spectreコマンドライン・オプション+mt=32を使用)して、Spectre Xで同じシミュレーションを実行すると、さらに2倍の速度向上が得られ、シミュレーション時間は約9hに短縮されました。8コアから32コアへの移行で精度の劣化はありません。

28nm Memory
1.2M MOS, 40M R, 20M C
Spectre APS 8T Spectre X 8T Spectre X 32T
Power Net EMIR Analysis 2d 17h, 260GB 1d 7h (2.1x), 230GB 9h (7.2X), 230GB
Signal Net EM Analysis 2d 16h, 286GB 1d 3h (2.4x), 240GB 12h (5.3X), 249GB

以上のことから、EMIR Directメソッドを使用した場合、Spectre XはSpectre APSに比べて次のような利点があると結論付けることができます:

  • 同数のコアでパフォーマンスが大幅に向上
  • より多くのコア数、つまり8Tから32Tに移行すると、パフォーマンスが大幅に向上
  • メモリ消費量の削減

Spectre Xが大規模で複雑なデザイン、特にアドバンスドノードのデザインにより多くの価値を提供することについては、Spectre Tech Tips: Spectre X Updateブログ(日本語版はこちら)で既に説明しました。

Spectre X EMIR Iteratedメソッドの性能

Spectre EMIR Iteratedメソッドは以下の2つのステージで構成されます:

  • 回路シミュレーション・ステージ: デザインのRC縮退バージョンを使用し、タップデバイス電圧と電流を計算
  • RCネットワーク解析ステージ: タップデバイス情報を使用し、各寄生ネットのIRドロップとEM電流を計算

Spectre APSまたはSpectre Xソルバーは、第1ステージで使用され、第2ステージでは専用のRCネットワークソルバーが使用されます。したがって、EMIR Iteratedメソッドの解析全体でのSpectre Xの性能向上は、EMIR解析の各ステージで費やされる時間に依存します。たとえば、第1ステージに30分、第2ステージに24時間を要するデザインでは性能向上はありません。一方、第1ステージが支配的であるか、または少なくとも全体の時間のかなりの部分を占めている場合、Spectre Xは性能向上を提供する可能性があります。

IteratedメソッドにおけるSpectre Xの性能の影響を評価するため、大規模SRAMデザインを使用し、Spectre X MXプリセットを、Spectre APS ++aps=moderateモードと比較しました。どちらのシミュレータも8コアを使用し、精度は同等であることが確認されました。

Case Inventory Spectre APS ++mod Spectre X MX Speed Up
SRAM Large
22nm
7M N, 600k MOS,
40M C, 7M R
6d 5h, 50GB 2d 16h, 44GB 2.3X

以上のことから、このようなデザインやEMIRシナリオにおいて、Spectre XソルバーはIteratedメソッドでも大幅な性能向上を実現していると結論づけることができます。一般的に、IteratedメソッドでのSpectre Xの性能向上はDirectメソッドに比べて少ないと予想されますが、絶対的なシミュレーション時間の観点からは、Iteratedメソッドのほうがはるかに高速であることが予想されます。

関連リソース

  • Introducing Spectre X in EMIR Analysis (日本語版はこちら)
  • Spectre Classic Simulator, Spectre Accelerated Parallel Simulator (APS), and Spectre Extensive Partitioning Simulator (XPS) User Guide
  • MMSIM日本語資料

Stefan Wuensche
Translator: Yoko Watanabe

Spectre Tech Tipsについて

Spectre Tech Tipsは、Spectre®の機能や可能性を探求することを目的としたブログシリーズです。このシリーズでは、Spectreの有用な機能や改善についての知見を提供することに加えて、Spectreに関連するあらゆることについての知識と経験を共有する、様々なブロガーや専門家の声を届けます。最新のSpectre Tech Tipsの投稿についての通知を受けるには、ページ上部のSubscriptionsフィールドにメールアドレスを入力して、SUBSCRIBE NOWをクリックして下さい。Subscription 設定手順の詳細は、Article (20493886) Title: 日本語ブログ「カスタムIC/ミックスシグナル Blogs」 Subscription 設定手順 をご参照ください。